LECTURER REPORT
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AOCMF Course Korea

2010 7/16 - 18

香川県立中央病院  歯科口腔外科  医長  管野  貴浩  先生

   今回、2010年7月16日より18日までの3日間、韓国ソウルにて開催された AOCMF Principles Course in
CranioMaxillofacial Fracture ManagementにFaculty memberとして参画させていただきましたので報告致します。

   今回のコースは、日本口腔外科学会との姉妹提携関係並びに学術交流の深い韓国口腔外科学会理事長であるダンコック大学口腔顎顔面外科主任教授Prof. Kyung-Wook Kim先生がLocal Course Chairpersonとして主催された。International Course Chairpersonには英国London King's College Hospital口腔顎顔面外科/形成外科のDr. R. Bentley先生、International facultyにアメリカMedical College of Georgia口腔外科のProf. M. Stevens先生、Regional Facultyには私の他に、インドMazumdar Shaw Cancer Center頭頸部癌センター長のProf. M. Kuriakose先生、横浜市立大学形成外科の前川二郎教授、また韓国からはソウル大学口腔顎顔面外科主任教授Prof. John-Ho Lee先生をはじめ12人のLocal Facultyを迎え総勢18名の講師陣による協力体制のもと開催された。講師陣の専門分野は口腔顎顔面外科/頭頸部外科領域治療に当たる幅広い専門性を有する陣容であり、口腔外科10名、Image形成外科5名、耳鼻咽喉科/頭部外科3名であった。また受講者は韓国より36名、日本から7名の合計43名であり、専門はそれぞれ口腔外科24名、形成外科17名、耳鼻咽喉科/頭頸部外科2名であった。

   このAOCMF Principles Courseは口腔顎顔面/頭頸部領域の骨外科手術・再建外科治療を行っていくに渡り、最も中核を成すべくAOの膨大なる臨床データー・骨研究から集約されたPhilosophyの基礎を学べる体系的包括的なCourseであり、骨外科医としての登竜門とされる。講師陣、参加者ともに各科の垣根を越えた分野から、知識と技術の習得が得られるため、参加希望者は年々増加の一歩であり、今回も予定定員であった40名を早々にオーバーし、人気の高さとこのコースの進める国際的多学際的姿が改めて強く感じられた。本コースは、AO philosophyの骨外科の基本技術と骨の形態生理学に関する知識と、実際の臨床手術、すなわち頭蓋顎顔面/頭頸部領域の外傷治療、再建外科治療、顎顔面変形症治療を初めとした広範囲に渡る外科治療に必要な基本事項に関しての講義と、実際に臨床の場を想定した頭蓋模型を使っての様々なHands-Onによる手技の習得から構成されている。Image

   講義とHands-On Workshopは、ともに公用語として英語のみを用い、同時通訳はなく進められるが、講師全員が明瞭かつ理解のしやすい講義で行われ、また全てのセクションにおいてモデレーターが講師陣と参加者との快活なDiscussionの橋渡しすべく盛り上げ、全参加者の回答からも特に習得に支障はなかったと思われた。特に講義については事前にアブストラクトが配布されており、また講義は全てPCを用いて明瞭な写真、グラフィックスや多くで手術を反映すべくビデオ動画を用いての解説で成されるため、非常に理解に役立ったと考えられ好評であった。3日間のコース中には実に40回前後の20-30分間程にまとめられる各トピックスでの講義と1時間-1時間半程での、8人ずつ1テーブルにて、2人のDrごとに一つの頭蓋顎顔面模型を用いてのHands-On Workshopは計6回のテーマで行われた。毎朝8時から夕方17:30までのタイトなコース内容であったが、それぞれにおいて講師陣、参加者間での活発な意見交換と質問が繰り返され、講義と実習全体を繰り返し行うことでその習得レベルは大きく高められ活性化されていた。韓国の若手の先生方も初日は質問等についてやや控え目であったが、2日目、3日目と進むにつれ参加者の多く、特に日本から参加された先生方からも、非常に活発な議論がなされたことは大変喜ばしいことであった。特に2日目と3日目に設定された顔面外傷治療と再建外科手技に関する実際の多くの臨床症例を用いてのCase Discussionでは、講師陣、参加者ともに多くの考え方、手技についてモデレーターのコントロールのもとで、様々な事項についてARS(Audience Response System)を用いて、質問事項に対する参加者からの即時の返答を中心とした討論がなされ、実に理解を深めるのに有益であったと思われた。

Image   またこのAOコースの良い点は、毎日のコース中や終了後に適度なコーヒーブレイクやランチタイム、またパーティーなどの集まりがあり、講師、参加者各々が、国や各専門領域の垣根を取り去り、自由な楽しい日常会話を共通の英語を通して深めることで、国際交流を高める場としても非常に有意義なものとなり、毎日の長い講義と実習の疲れも忘れるかのように皆々の話は盛り上がっていた。日本からの先生方も広く国際交流を深められており、その姿からは、今後の日本国内でのAOコースについても、特にこのPrinciplesコースの公用語は英語とし、海外からの受講者を受け入れ、国際的舞台の中での学術交流と知識と技術の習得の場となることが強く望まれ、その実現は近い将来にも可能ではと考えられた。

Image   一方で、本コースは頭蓋顎顔面/頭頸部領域の骨外科のほぼすべての広範囲な領域ごとを精選してコンパクトに集約されてはいるものの、3日間でのかなりタイトなものであり、参加者からは十分な理解と習得が得られない事項もあったかと思われる。特にコース中に解決できなかった点や疑問点については、継続してのAO関連コースへの参加での更なる知識と技術の修練や、また昨年からInternet上でも AOCMF Surgery ReferenceなどのOn-lineでの学習材料へのアクセスが可能となっており、効果的に各自での継続展開が可能である。今後もAOを通して、参加された先生方が最新細心、最良の顎顔面/頭頸部領域の骨外科手術の改良に役立てていただければ幸いと考え、また更なる国際交流の活性化を願い、真夏の真っただ中の韓国ソウルを後に、各自それぞれの帰途についた。